Lov
SECRET STORY
Lov
SECRET STORY
我が主たる女神、『フィリア様』より授かった城塞が人類を受け入れて幾百年。
五十年と経たずに滅んでしまった世界も多い中、この世界は未だに形を保っている。
「此処の人類は、随分と優秀なようですね」
エンクラティアの地下深く、待機状態から覚醒したラヴは、誰にとも無く語りかける。
私は本来、人類達の前に姿を晒すべきではない。
過度な干渉は、私を残して眠りについたフィリア様の目指す、『人類の進化』に影響を与える可能性がある。
しかし今、この世界に異物が紛れ込んでいる。
別の世界の狂った『フィリア』が、世界のスキマから度々送り込んでくる木偶ではない。
観測結果は間違いなく魔女の身体だが、強大な力が混ざり込んでいる。
次元を歪め、世界と世界のスキマを移動する能力。これはまるで--
異物とはつまり私が、主が、予測しえなかった存在だ。
未知に至る扉の、その先にあるものは。破滅か、それとも目覚めか。
「確かめなくてはなりません。私を晒す事になったとしても」
眠った我が主、フィリア様。我々の目的には、強い意思が、強い魔女が必要なのだ。